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【特集】山梨ワインとヤマナシ・フレンチで味わう四季折々のマリアージュ、レストラン ゼルコバ

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 ワイン造りが政府の殖産興業政策の一環となった明治時代、全国に先駆けてブドウ酒醸造所が開かれた山梨県。とりわけ明治以前よりブドウ栽培が盛んであった峡東地域は、日本一のワイナリー集積地として発展し、現在までに集まったワイナリーの総数は60を超える。

 このようなワインとの深い関わりがある地域で、文明開化の黎明期から格式と風格あるワインを造り続けてきた老舗ワイナリーが「ルミエールワイナリー」。

 2010年には「ワイナリーレストラン ゼルコバ」も敷地内にオープン。日本遺産の「葡萄畑が織りなす風景」に認定されているブドウ畑の風景を眺めながら、伝統ある山梨ワインと、地元産の食材を生かしたヤマナシ・フレンチのペアリングも楽しめるようになった。

日本のワイン文化に輝きを与える山梨県の老舗ワイナリー

大小合わせて300樽以上のワインが眠る、地下の利点を生かしたワインセラー

 フランス語で「光」を意味する名のとおり、日本のワイン文化に輝きを与える光でありたい、との想いを掲げるルミエールワイナリー。1885年の創業以来、「本物のワインを造るには本物のブドウを育てること」「百姓から販売まで自営なり」という2つの教えを守り続けてきた。

 最新の醸造設備や地下セラー、日本の登録有形文化財に認定されている伝統的な石蔵発酵槽を駆使し、品種ごとに異なるブドウの個性を生かしたワイン造りや、ブティックワイナリーとしてワインを楽しむ文化の醸成に取り組んでいる。

ブドウ畑に囲まれたワイナリー併設のショップでは、試飲や買い物を楽しめる

 ショップでは、試飲や買い物以外にも、予約制でワイナリーツアーへの参加も可能。ワイン造りの裏側とワイナリーの歴史を垣間見られる同ツアーでは、ブドウ畑や醸造棟、石蔵発酵槽、地下セラーをガイド付きで見学できる。

ブドウにまつわる伝承の地・峡東地域で創業時から紡ぐワイン造りへのこだわり

施設の目の前に広がる自社農園では、自然に近い環境でワイン用ブドウが栽培されている

 創業当時、いち早く西洋文化の華であったブドウ酒に着目し、近年ではヨーロッパ品種の導入や、自然の力を生かした農場の整備など、原料となるワイン用ブドウの栽培から品質にこだわり、長年に渡ってワイン造りに取り組んできたルミエールワイナリー。

 自社農園の「ルミエール農場」は元々ブドウ栽培に恵まれた土壌条件であったものの、虫による食害を減らし、地下の土壌の水捌けを良くするために、雑草を生かす「草生栽培」と、人工的に耕さない「不耕起栽培」を採用した土づくりが行われている。

1901年に造られ、今も使用されている「石蔵発酵槽」

山梨ワインとヤマナシ・フレンチのペアリングが楽しめるワイナリーレストラン

店名の由来となった大きなケヤキの木(写真提供=ルミエール)

 ワイナリー併設のレストラン「ゼルコバ」は、樹齢約900年のシンボルツリーであるケヤキの学名を冠している。

 同店の総料理長を務めるのは、国内外の大手ホテルや老舗フレンチ店で技術を研鑽した広田グランシェフ。山梨県産の旬の食材を使用したヤマナシ・フレンチと、ブドウ本来の良さを最大限に引き出せるよう造られたルミエールワイナリーのワインが生み出すマリアージュは、この場所ならではの味わいだ。

 窓が大きく縁取られた開放的な空間設計の店内からは、広大なブドウ畑や南アルプスの山々を眺望でき、訪れる季節や時間帯によって異なる四季折々の風景を楽しめる。

料理人プロフィール

ワイナリーレストラン ゼルコバ・広田 昭二グランシェフ(写真提供=ルミエール)

1955年、高知県生まれ。ホテルオークラ、プティポワン、ベルフランスを経て、フランス、アメリカで研修後、ホテル西洋銀座 元総料理長を務める。2008年、洞爺湖サミットの料理人の一人に選出、2021年までJR東日本「TRAIN SUITE 四季島」にも携わる。現在は、ワイナリーレストランゼルコバ総料理長。「場所場所でとれる素材をフレンチのテクニックで最大限に生かす。海に行けば海の料理、山に行けば山の料理」がモットー。(公式プロフィールより転載)

山梨県ならではの味覚を生かした料理で季節の移ろいを表現 

料理には広田グランシェフこだわりの地元産食材を使用

 敷地内ではワインや料理を楽しめるイベントが開催されることもある。2023年10月20日に催行されたワインツーリズム主催の「Yamanashi WINE & FOOD Festival」では、ルミエール農場にある垣根仕立てのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑を会場とし、ブドウ畑と食の饗宴をテーマにしたコース料理が参加者に振る舞われた。

「Yamanashi WINE & FOOD Festival」の会場となったブドウ畑(写真提供=ルミエール)

 こうしたイベントの際には、ワインと相性が良く、かつ美味しさを外さないクラシックな料理を一番に考えることが多いという広田グランシェフ。

 山梨ワインや山梨県産の食材の魅力について尋ねると、「私が初めて山梨ワインを飲んだのは約40年前になりますが、当時と比べて雲泥の差を感じるほど、レベルが上がってきていると思います。食材に関しても、やはりこの辺りは富士山の火山灰が含まれる鉄分の多い土壌ということもあり、大塚にんじんや大塚ごぼう、八幡芋など、独特だけれども美味しい食材が多いですね。いつも言うのですが、山梨県には分かりやすい高級食材がそれほどありません。ただ、四季の移り変わりとともに食材の変化を楽しめる、旬の食材がフレッシュな状態で味わえる料理を目指しています。当店にお越しの際には、ぜひそのような視点で山梨ワインとのペアリングをお楽しみください」と語った。

イベント当日には、この日限りの特別なコース料理が振る舞われた

施設情報

レストランゼルコバ内観(写真提供=ルミエール)

ルミエールワイナリー&レストラン ゼルコバ

〒405-0052 山梨県笛吹市一宮町南野呂624番地

TEL:0553-47-0207(ワイナリー)

TEL:0553-47-4624(レストラン)

https://www.lumiere.jp/

 

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