南アルプス市に2025年4月に開業する予定の会員制量販店「コストコホールセール南アルプス倉庫店」(仮称)の隣接地に6月30日、地域活性化の拠点となる「fumotto(フモット)南アルプス」(南アルプス市十日市場)の地域交流エリアがオープンした。
施設は、「南アルプス完熟農園」の跡地で、中部横断自動車道「南アルプスIC」南側に位置する周囲を山に囲まれた立地で、南に富士山、北に八ヶ岳、西に南アルプス山脈、東に甲武信ヶ岳を見渡せるロケーション。
30日に先行オープンした「地域交流エリア」は、42の店舗により構成。「山と暮らすまち」という開発コンセプトのもと、株式会社ヒカレヤマナシ(代表竜沢恒)が「食べる」「買う」「遊ぶ」を楽しめる体験型複合施設として開発・運営を行う。
地域交流エリアの敷地中央には、直径約75メートルの多目的芝生広場を配置し、一角には水遊びが出来るエリアも設置されている。芝生広場の周囲には、山梨の食と農業を発信する「ファーム・ベース」、南アルプスでのアウトドアを発信する「マウンテン・ベース」、山梨の暮らしや文化を発信する「ローカル・ベース」の3つのゾーンを展開する。
「FARM BASE(ファームベース)」は、山梨県内最大となる農産物直売所「fumotto MARCHE」とローカルガストロノミーをコンセプトとしたワインレストラン「fumotto DINING」のほか、国産牛の直売所「あんずお肉の工場直売所 南アルプス店」、フルーツパーラー「fumotto PARLOR」、クロワッサン専門店「IDEAL BAKERY croissant &pastry」などが出店した。ワインは、fumotto MARCHEでは約100種類を販売、fumotto DININGは約70種類を提供する。
「マウンテン・ベース」は、通年でアクティビティが充実。BMXやMTBを取り扱う自転車専門店「CARNOSA fumotto」が出店した。「ソトアソビ」の空間を目指し、ショップだけでなく、1周400メートルのサイクルトレイル、ラジコンサーキットを備えるほか、サイクルトレイル、ストライダー、RCコースを展開するほか、魚のつかみ取りなどのさまざまなアクティビティを用意している。キャンプサイト&RVパーク「カルノーサ フモット ミニキャンプ」は、fumotto全体を宿泊して楽しむ・南アルプス・山梨観光の拠点とする、訪れる人の「アソビ」とともにある宿泊施設を目指すという。
エリアの一角には野外のフードコートとなる「トレーラビレッジ」には、ジビエカルチャーを発信する「gibier kitchen jaeger」、バインミー、タピオカドリンク、おこわを扱う「ベトナム料理 REN」、韓国料理「ハンの台所」、特注のPIZZA専用石窯を備える「PIZZERIA BUONO」、山梨県産米を使用する「おにぎり専門店RAN」、自家焙煎コーヒーとコーヒーとのペアリングを重視したフードを提供する「pito aune coffee」の6店舗が出店する。
「ローカル・ベース」は、2階建て建物3棟約400坪に、テナント店舗が出店。「ちぼりスイーツファクトリー山梨本店」、「時のなる木 THE HEREN BAUM」、「清月 fumotto南アルプス店」、「りんご飴専門店 富士林檎 南アルプス店」、「MINAMI ALPS STAND」などのスウィーツや、土産などの小売店、雑貨屋、ジュエリーや印伝などの山梨の伝統工芸品、各種サービス、「麺 あかざわ」、「ほうとう処 麓」、「H-ONE BURGER」などの飲食店が出店。30店舗以上のテナントが軒を連ね、展望テラスも備えている。地域の新たな魅力の発見や山に囲まれている街の眺望が楽しめるのんびりゾーン。
3つのエリア合計では、42の店舗が出店し、山と暮らすまちや山梨の魅力を広く発信していくという。
地域交流エリアは、2026年夏に拡張工事を行い、店舗全体の売り場面積を現在の約1,000坪から1,500坪まで約1.5倍に拡張し、店舗数も増やす予定となっている。
今後、2025年4月には「コストコ」が新規オープンする予定。今年5月16日には起工式が行われ、現在建設工事が進んでいる。
「fumotto南アルプス」の事業用地全体は、約12ヘクタールで、「大型商業エリア」、「交通拠点エリア」、「地域交流エリア」の3エリアに区分して開発を行っていく。大型商業エリアには、山梨初進出となる会員制大型商業施設「コストコ」が出店。「交通拠点エリア」は、南アルプス市の主導でバスターミナルや観光案内施設が整備される予定だ。
今後、交通拠点エリアの開発計画が南アルプス市の主導により進められ、数年後の工事の完成をもって「fumotto南アルプス」は当初の開発計画が完了することとなる。先行オープンした地域交流エリアはその一部。今後さらにアップデートしていく「fumotto南アルプス」に期待したい。
編集後記
fumotto(フモット)は、総数2,000件を超える公募から選ばれた施設名称で、山々の「麓(ふもと)」にある地域であることと、「にぎわいを生む」、「活力創出」、「多世代が親しむ」という施設の目的を「もっと」というキーワードに込めたという。
また、fumotto南アルプスを運営する株式会社ヒカレヤマナシは2024年6月17日に、南アルプス市と包括連携協定を締結し、南アルプス市の地域の活性化や地域課題の解決に向けて、相互に連携して取り組んでいくことになった。
新しく誕生したこの「fumotto南アルプス」が、山梨県の内外から多くの人が集まるにぎわい創出の拠点として、南アルプス市全体の盛り上げにも貢献する施設に発展していくことを期待したい。
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甲府経済新聞 編集部