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山梨市牧丘町にあるワイナリー「Cantina Hiro(カンティーナ ヒロ)」(山梨市牧丘町倉科)が現在、農林水産省の有機JAS認証取得に向け準備を進めている。
牧丘町のワイナリー、有機JAS認証取得へ挑戦 スマート農業でブドウ栽培目指す
経営する広瀬武彦さんはNECでの勤務を経てUターン。両親のブドウ畑を継ぎ、2018(平成30)年4月にワイナリーを開業。生食用・醸造用ブドウの栽培とワイン醸造を手がけている。20年以上にわたり有機肥料を使ったブドウ栽培を実践し、循環を重視した有機栽培により、同地区でJAGAP認証を取得している。
広瀬さんは、自身が培った「有機栽培で高付加価値のブドウ作り」を次世代に継承するため、スマート農業の導入を検討していたところ、ルートラップポット(=ポリエステル100%の長繊維不織布を用い、ポット型に加工した製品)を使った根域制限栽培に出合い、新たな可能性を見出したという。
根域制限栽培は、多様な微生物による健康な土壌作りを小規模で実現し、病害虫への耐性を高めることで、肥料や農薬の使用を抑えられる。作業効率の向上により、高齢化が進む山梨県の農家における人手不足問題の解決にも寄与するという。
広瀬さんは「スマート農業を取り入れ、有機JAS認証を取得することで、有機栽培の認知向上を図り、消費者に安心・安全な農作物として信頼してもらえるブドウを作りたい。そして、次世代のブドウ栽培者に新しい形の栽培方法を継承したい」と意気込みを見せる。
有機JAS認証取得には高額な費用がかかることから、現在、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。集まった資金は、有機JAS認証取得に向けた認定検査費や資材費などに充てる。同ワイナリーで栽培されたブドウの詰め合わせや苗木オーナー権、たき火イベントへの参加などをリターンに用意する。2月28日まで。