
県防災新館(甲府市丸の内1)2階にある「山梨デザインセンター」で現在、こけら落とし企画展「縄文のデザイン展~縄文土器からひもとく山梨デザインの原点~」が開催されている。
同センターは3月に開設された施設で、同展はオープニングを飾る企画。山梨県は、縄文時代の遺跡や出土品が数多く見つかっている地域として知られ、県内の考古学的調査では独自の造形美を持つ土器や土偶が発見されてきた。同展は山梨の豊かな縄文文化を「デザインの視点」から再評価し、フォルム・文様・色彩という造形要素に注目しながら、縄文時代の創造性を探る内容。縄文土器や土偶の展示を通じて、デザインの基本要素に焦点を当て、現代社会から遠ざかりつつある縄文の価値を見直し、デザインの未来の可能性について考察する。
展示は、「文化的テロワール(Cultural Terroir)」という概念を軸に据えている点が特徴。気候や風土だけでなく、地域固有の文化や美意識がデザインにどのように影響を与えてきたかに着目し、山梨の土地が生み出した造形美のルーツを掘り下げる。山梨県立考古博物館(下曽根町)との共同企画として考古学の研究成果も取り入れ、学術的な知見とデザインの視点を交差させることで、縄文文化が持つ「未来のデザイン」へのヒントを探る試み。山梨県立考古博物館はこれまでにも縄文時代の研究を進め、地域の歴史や文化を伝える拠点としての役割を担ってきた。今回の連携により、学術的な裏付けとデザイン的な発想の両面から縄文文化を再発見する機会となる。
関連イベントとして4月19日、縄文土器作りワークショップやトークイベントも予定。トークイベントはセンター長の永井一史さんと山梨県立考古博物館の高橋龍三郎館長が登壇。デザイナーの立場から縄文の研究者に問いかけ、縄文の造形が現代にどのような影響を与え得るのか、未来のデザインにどう生かせるのかを探る内容になるという。
アシスタントマネジャーの矢野里江さんは「多くの人に来場いただき、縄文時代の造形美を楽しんでもらえれば」と呼びかける。
開催時間は9時~17時。土曜・日曜・祝日休館。4月21日まで。