山梨大学ワイン研究センター(甲府市北新1)が現在、「シン・山梨大学ワイン」製造に向けたプロジェクトを立ち上げるためクラウドファンディングで協力を呼びかけている。
果実酒を専門に研究する研究機関として1947(昭和22)年、山梨大学工学部の前身の山梨工業専門学校に付属発酵研究所として設置された同センター。その後改組を行い、2000(平成12)年にワイン科学研究センターに改称された。発足当時は、山梨県の特産品であるワインの品質向上を目的として、ワインに関する微生物学的・醸造学的な基礎研究を地域と密着して行ってきた。ワイン産業の発展に伴い現在は、先端的な細胞工学・遺伝子工学技術を駆使した基盤研究から最新のブドウ栽培・ワイン醸造の実用研究までを包括する研究センターとして、世界的なワイン研究・教育拠点となることを目指している。
ブドウの栽培やワインの製造は、地域振興や地域活性化と高い親和性を持つことから、同大学を含め、さまざまな大学がブドウ栽培・ワイン製造を教育に取り入れ、大学オリジナルワインを発売している。同大学を含め、いずれの大学オリジナルワインもその製造にはワインメーカーが関わっており、大学だけでブドウ栽培からワイン醸造を行っている例は他にないという。
同プロジェクトでは、ブドウ栽培からワイン醸造、瓶詰め、エチケット・デザイン、販売までの全てを同大学で行う。「地域から地球規模の社会課題に取り組み、100年後も持続可能なブドウ栽培・ワイン造りを山梨大学から提案する」をビジョンに掲げ、世界的ニーズに対応したワイン造り、気候変動に対応したブドウ栽培を実現するために、技術力向上とこれからを担う学生たちの育成が重要と考える。
現在、クラウドファンディング(CF)で協力を呼びかけている。集まった寄付は、「シン・山梨大学ワイン」の製造に必要な醸造設備、温暖化対策・有機栽培推進に向けたほ場整備費用に充てる。4月1日に始めたCFは開始から12日目で第1目標としていた400万円を達成。瓶詰め作業に必要な設備を充実させるためネクストゴールを700万円に設定し、達成を目指す。
同大学工学部付属ものづくり教育実践センター技術職員の石原麻由さんは「センターで一通りの作業を本格的にするには試験場程度の機械だった。システムとして充実させてワイナリーなどの販売クオリティーまで持っていきたい。この場所で大きなワイナリーと同じ機械を扱える経験が学生時代にできると、学生たちの今後に役立つ。これまではできなかったが、できるようになれば山梨、日本のワイン業界に貢献できる。支援をお願いできれば」と呼びかける。
CFはREADYFOR(レディーフォー)で5月30日まで受け付ける。