デザインセミナー「デザインによる思考とは?」が9月20日、ベルクラシック甲府(甲府市丸の内1)で開催された。主催は山梨県。
同セミナーは、県立美術館付属デザインセンターの連携事業として、県内の事業者や大学生・県民のデザインリテラシー向上を目的に開いた。
山梨県デザインセンターは、「デザインの力を生かして豊かな地域社会を形成する『デザイン先進県』の構築」を目指す同県が11月、県庁防災新館(丸の内1)に開設する。同センターは県立美術館に付属し、包括連携協定を結ぶ多摩美術大学と連携し、日本を代表するデザイナーを招き、専門的な知見を生かした各産業の高付加価値化や地域・政策のデザインに取り組むことを目指す。オープンに先立ち、永井一史さんをチーフ・デザイン・オフィサー(CDO)に、深澤直人さん、柴田文江さん、林千晶さんをデザイン・ディレクター(DD)に委嘱した。
当日は、講師に山梨県CDOで多摩美術大学美術学部統合デザイン学科教授・HAKUHODODESIGN代表の永井一史さんと多摩美術大学美術学部統合デザイン学科准教授・コグニティブデザイナー・表現研究者・映像作家の菅俊一さんを招き、講演とワークショップを行った。永井さんは「これからのデザイン経営」、菅さんは「観察から考えるデザイン」をテーマに講演。午前・午後2回の講演合わせて106人が来場した。うち、学生は約10人だった。
友人に誘われ参加したという山梨県立大学学生でヴィジョナリーパワー(大手1)所属の勝部陸羽さんは「面白そうだと思って参加した。自分の中でデザインとアートの関連性というのに疑問を持っていたので、新たに一つの解が得られた」と話す。
永井さんは「CDOということで、ある意味大変な役を引き受けたと思っているが、これからは行政にかけるデザインの領域は拡張していて、行政×デザインは非常に重要な領域。山梨県の中でこうした事例を増やしていければ」と話す。セミナーについては、「午前中は事業者で、午後は一般、学生が多かった。皆さん熱心に聞いていて、最後に学生から質問もあった。デザインが事業者しかり、県民、学生に広く伝わっていく一つのきっかけになれば。デザインセンターを含めての第一歩としてはいい機会だった」と振り返る。
講演の様子を収めた動画は、山梨県公式ユーチューブ(山梨チャンネル)で配信する予定。