
テクノロジーを駆使した作品を展示する「YAMANASHI MEDIA ARTPROJECT」が3月8日から、山梨県内各所で開催される。
やまなしメディア芸術アワード(YMAA)2024-25入選作品展
同プロジェクトは、次世代アーティストがテクノロジーを駆使したアート作品を通じて、山梨から未来への提案を行うもの。山梨の文化や社会課題に新たな視点を提供し、地域の魅力を再発見する機会を創出。若手アーティストの育成や、地域と芸術の新たな関係性の構築に貢献することが期待される。
プロジェクトの一環として、「やまなしメディア芸術アワード(YMAA)2024-25入選作品展」を開催。国内外から応募のあった303作品から選ばれた10点の入選作品を、小さな蔵の美術館(甲府市丸の内1)、ART SPACE 夢(甲府市中央2)、GASBONMETABOLISM(北杜市明野町浅尾新田)で展示する。作品は、AIなどの最新技術を使い「現代社会の課題を問いかけるものとなっている」という。
写真家の畠山直哉さんによる高大連携授業の成果として、駿台甲府高校美術デザイン科の生徒による「YMAAラーニング成果発表展」も同時開催。会期中の最終審査を経て、最優秀賞(Y-GOLD)、優秀賞(Y-SILVER)、山梨県賞(Y-CRYSTAL)を3月下旬に発表する。
メタバース企画で、アーティスト・コレクティブ「6okken(ロッケン)」(富士河口湖町大石)による「拡張遊歩『まだ見ぬ世界』の歩き方」展も開催する。富士河口湖町大石地区の古民家をメイン会場に、河口湖エリア一帯でAR(拡張現実)作品を展開する。ロッケンは、富士山エリアのオーバーツーリズムに着目し、AR技術を用いたアートプロジェクトを通じて、地域社会における生活と芸術の関係性を見つめ直す新しいツーリズムを提案する。
ロッケン共同代表の一人、津島英征さんは「良い旅の後には、かつて見知った世界を、新しい視点で生き直す感覚になることがある。人類は、その歴史の大半を、歩き、動き、旅を続けてきたが、それは、自分の知っている世界の外へと踏み出そうとする本能なのかもしれない。自らの世界観を壊し、つくり直す―旅の衝動が、当プロジェクトのテーマ」と話す。
「現代の旅は簡単に、満足が保証されたルートをなぞる作業にもなり得る。SNSや観光ガイドの風景は多くの人を引きつけるが、結果として局所的なツーリストの集中が生まれ、地域の悩みの種になってしまうことも。当プロジェクトは、AR・VR作品と写真作品を通じて、鑑賞者に『旅の衝動』を取り戻す試み。ツーリストには旅本来の喜びを取り戻して、行き先の分散を試みるとともに、山梨の人々にとっても、地域の風景を新たな視点で生き直すきっかけになることを目指した」とも。
河口湖町に在住のロッケンのアーティストらが、住み慣れた地域の中で、それでも新たな『自分だけの風景』と出合う。世界の外へと踏み出してしまう。その瞬間の追体験を、共感と動揺をもって楽しんでもらえれば」と話す。
今月30日まで。