甲府中心街にあるジュエリーショップ「Rigel(リゲル)」(甲府市丸の内1)が5月6日で閉店する。
甲府中心街のジュエリー店「リゲル」閉店 背景にライフステージの変化
2018(平成30)年2月にオープンした同店。かつて甲府オリオン通りにあった「甲府クラフトラボ」(2019年3月31日閉店)に開業時から出店していたジュエリークリエーターの手塚順子さんと平井クミさん、皮製品作家の保泉房枝さんの3人が1年半の出店期間を満了するタイミングで「終わるのがもったいない」と立ち上げた。
甲府クラフトラボは、地域資源であるジュエリーを活用し、甲府市中心市街地へのジュエリー・クラフト関連店舗の集積や雇用創出を目的に、甲府市が民間事業者に委託し、関連のデザイナー、クリエーターのチャレンジの場として出店者がそれぞれ棚を持ち、店番を交代で行いながら運営していた。同店も同じコンセプト、形態で営業。店名も、オリオン通りの名にちなみ、オリオン座の一等星を意味するRigelから名付けたという。内装は、サポートを受けながら3人がDIYでリノベーションした。
3人のリーダー的存在で経営に当たっていた手塚さんが2019年夏に他界。当時、手塚さんから補助金申請の相談を受けていた五十嵐友美さんが同年9月から引き継いだ。千葉県出身の五十嵐さんは、前職の関係で8年前から山梨に移住。甲府クラフトラボの頃から、アクセサリーや作ることが好きで「学びに通っていた」ほか、開業時にはDIYを手伝った常連だった。「やめる選択肢もあったが、出店している皆さんも中途半端になってしまうことや関係者も多かったこと、わずかに借り入れも残っていたこと、誰かが不動産契約やインフラの契約をしなければならないことから『やるか』と決心した」という。直前に勤めていた会社を退職したこともあり、経営内容や手塚さんの構想など内情を把握していた五十嵐さんが2019年9月から引き継いで営業していた。
現在は、手塚さん、平井さんのブランドを合わせた4ブランドの商品を店頭に並べる。
毎月出店者がシフト制で店を開けている同店は、2021年夏ごろから、関わっている人のライフステージが、「独立」「子どもの進学」「体調不良」「実家の都合」「副業」などと変わり、週1日営業するのが手一杯になってしまった。営業日数を確保できないため出店料の定額制をやめ、歩合制に変え、五十嵐さんの金銭的な負担も大きくなったという。今後も状況が回復する見込みがないことなどの理由で、昨年年末から閉店を考えるようになったという。
五十嵐さんは「順子さんたちが店を始めた時も行政や商工会の人が気にかけてくれていたし、引き継いだ時もクラウドファンディングをしたり、友人や趣味の友達が支援してくれたりした。店の規模の割には大勢の人に支援してもらっていた。本当にありがたかった。続けていけなかったので、皆さんに対する心苦しい気持ちは率直にある。一方、コロナ禍もあり、協力し合いながらやる仕組みの中でトラブルもなく、よくやった方ではないかという思いもある。人間関係は良い状態でやることができた。店という形は終わるが、皆さんの活動は続くし、エネルギーがなくなる訳ではない。彼らの手伝いとしてこれからも携わっていくことはやめない」と話す。
閉店後は、同店の施工をサポートしたSHOEI(古府中町)運営管理の下、7月1日から、ギャラリー、レンタルスペースとして運営する予定。
5月6日までの営業時間は11時~17時。