
甲府の就労継続支援B型事業所「anko(アンコ)」(甲府市徳行2)で7月26日、「anko Fes/インクルーシブパーティー2025」が開催された。
「anko Fes/インクルーシブパーティー2025」和智海維人展
同事業所は7月1日で1周年を迎え、これを記念して関係者や地域住民など、誰もが参加できるインクルーシブな空間づくりを目指して開いた。普段は公開していない元工場スペースを活用し、ankoメンバーの和智海維人さんによる作品展も同時開催。和智さんは、保育園の時に鉛筆を握ることから始め、小中学校時代はモノクロの世界を表現。高校生以降は「マッキー」による彩色を取り入れてきた。現在はアニメーターが使う水性ペンを用い、定規とカッターによる切り抜き作業までを制作工程に含めている。展示では軍艦やロボット、騎士など、多様なモチーフを組み合わせたオリジナルキャラクター・シリーズや初公開作品も並べた。
当日は、ファッション・雑貨店「スミキチ」、コーヒー「フゾロイ」、焼き菓子・クラフトアイスを扱う「ATAGOEN(アタゴエン)」がゲスト出店し、商品を販売。さらに、ankoメンバーによるカレーの「SPICE CORNER」、パンの「muku muku」、焼き菓子の「CAFE TRETAR」の商品も販売した。
ステージでは、「DJ sasaki mongol」「さとし」、アイリッシュミュージック「mii Fruits company(ミィフルーツカンパニー)」の生演奏がにぎわいを添えたほか、ankoメンバーが主体となり、ワークショップやデモンストレーション、トークセッションなども行った。
トークセッションに登壇したメンバーの澄乃華さんは「これまでB型事業所に行く人は楽しいことができないのかなと思っていた。悩んでいて、人生がつらかった時にankoが開所して働くようになって、『こんなに楽しいことがある』と世界が明るくなり、人生が救われた」と話す。今後については、「現状を維持して、やりたいこと、かなえたいことをして笑顔いっぱいで、楽しく幸せに過ごしていきたい」とも。
代表の堀内麻実さんは「この1年間、ankoは、生きづらさを抱えているさまざまなクリエーターが日々集まり、『生きる』ことに向き合い続けてきた。人は皆、繊細で、大胆で、弱くて、強い。そうであることをもう少し認め合える地域になれたらとてもすてきだと思う。人が人であることを許され、地域に暮らす一人として活躍できる場所。小さいかもしれないが、私たちならできると信じてきた。この思いはきっとこれからも変わることがないと思う。この一日を通じて、一人でも多くの人に可能性のある未来を想像するきっかけをつくることができれば」と思いを込める。