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甲州の蒸留所ギークスティル、初のリキュール発売 枯露柿をアップサイクル

「GEEKSTILL」社長の岸川勇太さんと広報の若月香さん。

「GEEKSTILL」社長の岸川勇太さんと広報の若月香さん。

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 クラフトジン蒸留所「GEEKSTILL(ギークスティル)」(甲州市塩山竹森)が1月31日、地域特産の枯露柿をアップサイクルした初のリキュール「GEEKSTILLPERSIMMON(ギークスティル・パーシモン)」を数量限定で発売した。

枯露柿をアップサイクルしたリキュール「GEEKSTILL PERSIMMON」

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 山梨県初のクラフトジン蒸留所として2020年10月に創業した同社。国産クラフトジン「AMRTA(アムリタ)」は全量山田錦を使った純米酒を原酒とし、地元の天然ボタニカルをふんだんに使用。ワイン産地の山梨で、「成熟したワイン市場ではなく、新たなお酒を」と、細部にまでこだわる「GEEK(ギーク)=オタク、マニアック」なジャパニーズクラフトジンを製造している。

 初となるリキュール製造は、地域の特産品の利活用から誕生した。山梨県特産品の枯露柿は、昨今生産者の高齢化や後継者減少により担い手が減少し、収穫や加工まで手が回らない状況。そのため、木になったまま放置されている渋柿が少なくない。昨年、数トンに及ぶ廃棄予定の渋柿があると聞き、何とか活用できないかと考え、入手して原酒へ漬け込みを試みたことが商品誕生のきっかけとなった。「渋柿の渋みをうまみに変えることで、新しいリキュールを造ることができるのでは」と発想し、6カ月間じっくりと渋柿を原酒へ浸漬。結果、「風味豊かなリキュールのベースが出来上がった」という。このベースを「さらに洗練させる」ため、山梨県産の薬草やかんきつを加え、同じく山梨県特産であるブドウの皮を原料としたスピリッツで調整し、柿のリキューが完成した。

 2月2日には、山梨県防災新館(甲府市丸の内1)で開催されたイベント「tane labo人と自然のつながりを取り戻す」で試飲を行った。

 社長の岸川勇太さんは「当商品は、渋柿特有のうまみと、薬草やかんきつが織りなす爽やかさと複雑さ、そして純米酒由来の原酒が生むまろやかな口当たりが特徴。そのままストレートで味わっていただくのはもちろん、炭酸水やお湯で割ると一層香りが引き立ち、季節を問わず楽しめる」と紹介する。

 「このリキュールには、お酒としての価値だけでなく、山梨県の自然と文化を再発見するストーリーが込められている。廃棄されてしまう運命だった渋柿が、地域に根付いている薬草やブドウと共鳴し、新しい形で命を吹き込まれる。極力地元の天然素材を活用し、地域資源を無駄にしないという当社の理念を象徴するプロダクト。今後、このリキュールを通じて山梨県の魅力を全国、さらには海外に発信していきたい」と意気込む。地元の飲食店や観光地での提供、主催のイベントやワークショップを開き、製造過程やその背景にあるストーリーを飲み手に直接伝える機会も設けていくという。

 「今後はクラフトジンと並行して季節ごとに異なるフレーバーのリキュール商品を発売し、山梨の四季を感じてもらえるような商品展開を目指している。当プロダクトが、山梨の新しい特産品として多くの人々に愛されることを願っている」と思いを込める。

 内容量は500ミリリットル、価格は4,950円。オンラインストアで扱う。

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