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甲府「印伝の山本」、サステナブルな素材で新しい印伝 パリの展示会で発表

「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」での展示ブースの様子(写真提供=クルツ)

「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」での展示ブースの様子(写真提供=クルツ)

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 「印伝の山本」(甲府市朝気3)が1月18日~22日、伝統を守りながら新しい印伝作りを展開するブランド「obudo(オブド)」の新商品をパリで開催された展示会「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」で展示発表した。

新しい印伝作りを展開するブランド「obudo(オブド)」の新商品

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 甲府を中心に発展した甲州印伝は、鹿革に型紙と呼ばれる微細なパターンを手加工で彫った和紙を敷き、日本伝統の自然塗料である漆によるパターンを着色加工した、300年以上の歴史を持つ日本の伝統的工芸品。1975(昭和50)年に山梨県内数社で甲府印伝商工業協同組合を設立、1987(昭和62)年には日本の伝統的工芸品として認定された。

 「印伝の山本」は1955(昭和30)年創業。先々代からの技術を受け継ぎ伝統工芸士である社長の山本裕輔さんが甲州印伝の伝統を守りながら、ゲーム会社とのコラボレーションを皮切りとしたアニメ、漫画、ブランドなどとのコラボレーションを積極的に展開している。

 新商品は、2022年1月に発売したブランド「obudo(オブド)」のバッグ、財布、ポーチ。山梨を代表する景色、山や畑、川、ブドウや梨、リンゴ、桃などのフルーツからインスパイアされる自然のテーマをブランドに込め、「新たな印伝の模様を提案する」という。ブランドデザインとディレクションは、プロダクトデザイナーの島村卓実さん。

 これまでの印伝とは異なる新たな印伝のオリジナルパターン、現代のデジタルツールやライフスタイルに「マッチする」アイテムを展開している。素材には、従来の印伝に使われている動物革ではなく、植物から生まれ、「鹿革のような風合いや柔軟さがある」という革「ウルトラスエード」を採用。同じく木から生まれた自然の塗料である漆を使い、「アニマルフリーでありながら革以上の耐久性とサステナブルな素材で新しい印伝を表現している」という。

 パリで年2回開催される「メゾン・エ・オブジェ」は、世界中からインテリア・ファッション業界関係者が集まるインテリア&デザインのトレードショー。期間中は新商品のほか、従来の鹿革を使った印伝商品も展示した。ブースには4日間で約100人が訪れたという。

 山本さんは「革バッグは、このブランドの特徴である、従来の鹿皮でなく植物成分を使った人工革を採用することで大きなサイズのバッグ製作が可能になった。従来からの印伝にある亀甲のパターンをバッグ形状に生かして伝統とのバランスを図っている。大小どちらのトートバッグも取り外せるインナーバッグを備え、機能面での使いやすさも追求している」と話す。

 国内では現在、「印伝の山本」の店頭とウェブで扱うほか、デパートで実演販売を行う。今後は一般販売も進めていく予定。

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