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夜だけの店に、昼のもう一つの顔を
――甲府市がシェアレストランと連携、まちなかの「間貸し・間借り」を後押し

甲府市が、飲食店の空き時間を生かした「間貸し・間借り」を本格的に推進する。2026年3月25日、市は間借り出店のマッチングで全国最大級の実績を持つ「シェアレストラン」(株式会社シェアレストラン、吉野家ホールディングスグループ)と連携協定を締結した。夜だけ営業する店の昼の時間を、これから店を持ちたい人へ。初期費用を抑えて挑戦できる場をまちなかに増やし、将来の実店舗開業と、貸す側・借りる側双方の安定経営につなげる狙いだ。

令和5年度の「店舗シェア」から、飲食特化の協定へ

甲府市は令和5年度、店舗の空き時間や空きスペースの有効活用を促すため、「甲府市店舗シェアサービス事業」を始めた。当初は飲食店に限らず、物販やサービス業も対象としていた。しかし令和7年度までの累計で、登録店舗は15件、利用は3件にとどまっていた。

事業を担う市の担当者は、伸び悩みの背景に制度上の課題があったと振り返る。「利用が無償である点や、貸し借りの期間が短い点などがネックになっていました」。加えて、中心市街地そのものが抱える構造的な課題もあった。まちなかの飲食店は夜のみ営業する店の割合が多く、昼に開いている店が少ない。日中のにぎわいが生まれにくい一因になっていた。

そこで市は、これまで自前で運営してきた店舗シェアの仕組みに、民間のノウハウを取り入れる方針を固めた。夜だけ営業する店が昼の時間を貸し出す動きが広がれば、日中のにぎわいが生まれる。初期費用を抑えられる間借り出店が根づけば、いずれ実店舗を構える人が増え、貸す側・借りる側双方の経営の安定にもつながる――。そうした構想のもと、マッチング実績で全国トップクラスの「シェアレストラン」との連携協定にたどり着いた。協定の締結後、市の店舗シェアサービス事業は、飲食店に特化した仕組みへと衣替えしている。

バンク、補助金、そして「間借り」――重なり合う三つの支援

甲府市には、まちなかへの出店を支える既存の仕組みがすでにある。今回の店舗シェアサービスは、それらとどう役割を分け合うのか。

一つは「甲府まちなか不動産バンク」。まちなかで空き店舗を探す人に向けた相談窓口であり、物件探しを支える仕組みだ。もう一つが「空き店舗活用事業補助金」で、実際に店を開く人の内装・設備工事など初期費用の負担を軽くする。いずれも、これから創業する人に照準を合わせた支援である。

これに対して、シェアレストランを活用した店舗シェアサービスは、既存店舗(貸す側)と創業希望者(借りる側)の双方にメリットがある点に特徴がある。貸す側は、営業していない時間を有効に使い、副収入を得られる。借りる側にとっては、マルシェへの出店などと比べ、店舗という実際の環境で自分のサービスをより具体的に試せる利点がある。初期費用を抑えながら店舗運営を経験することで、いざ実店舗を構える際の課題を事前に把握し、解決しておける。

市の担当者は、シェアレストラン側から聞いた話として、こう続ける。「間借りを経て実店舗を出した方は、開業前からファンや常連客を獲得できていること、店舗運営の経験があることから、一般に比べて経営が安定し、事業も長続きしている――閉店が少ないと聞いています」。物件を探す「バンク」、開店を支える「補助金」、そして経験を積む「間借り」。三つの支援が段階的に重なり合い、創業から定着までを切れ目なく支える構図だ。

行政との協定は「初」――2026年度に登録30件・マッチング10件を目標に

全国規模のマッチング事業者と自治体が連携協定を結ぶ例は、まだ珍しい。市によれば、シェアレストランにとって行政との連携協定は今回が初めてだという。甲府市にとっても、飲食店舗のマッチングに関する連携協定はこれが初のケースとなる。

市は2026年度中に、店舗登録30件、マッチング10件の達成を目標に掲げる。令和5年度からの累計で登録15件・利用3件という実績を踏まえれば、意欲的な数字だ。飲食に絞り込み、民間のノウハウと全国的なネットワークを取り込んだ新しい体制で、まちなかの「チャレンジできる場所」をどれだけ増やせるか。その真価が問われることになる。

中心市街地区域内でシェアレストランに登録している店舗は、合同会社まちづくり甲府が運営する「まちなか不動産バンクサポートサイト」でも確認できる。間借りではなく通常の賃借を希望する人も、同サイトから空き物件の情報にアクセスできる。

 

甲府経済新聞より

甲府経済新聞では、この連携協定を、まちなかの遊休資源を生かした地域経済循環の試みとして注目しています。夜だけの店に昼のもう一つの顔が生まれ、そこで力を蓄えた作り手が、やがて自分の店を構える――「間貸し・間借り」という小さな一歩が、甲府中心市街地の新陳代謝を促し、日中のにぎわいと持続的な創業の連鎖につながっていくことに期待したいです。飲食店経営者、そしてこれから店を持ちたい人にとって、挑戦のハードルを下げるこの仕組みが広く知られていくことを願っています。

関連リンク
甲府市 店舗シェアサービス事業(飲食店オーナー向け)https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shoko/shereshop.html
甲府市 中心市街地空き店舗活用事業補助金https://www.city.kofu.yamanashi.jp/shoko/akitenpo.html
シェアレストラン

https://share-restaurant.biz/

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