学ぶ・知る

山梨県立文学館で特設展「昭和文学をふり返る」 作家の直筆原稿も

太宰治「ヴィヨンの妻」原稿「展望」第15号(1947年3月)掲載 山梨県立文学館寄託資料(写真提供=山梨県立文学館)

太宰治「ヴィヨンの妻」原稿「展望」第15号(1947年3月)掲載 山梨県立文学館寄託資料(写真提供=山梨県立文学館)

 山梨県立文学館(甲府市貢川1)で現在、特設展「昭和文学をふり返る-収蔵資料より」が開催されている。

芥川龍之介「或阿呆の一生」草稿

[広告]

 同展は、1926(昭和元)年から1989(昭和64)年までの約62年にわたる昭和期の文学を、小説分野に焦点を当てて紹介するもの。戦争を挟み社会や価値観が大きく変化した時代背景の中で生まれた作品群を、同館の収蔵資料を中心に読み解く構成。展示点数は、原稿や書簡、書画、雑誌など約110点で、芥川龍之介、谷崎潤一郎、太宰治、井伏鱒二、山本周五郎、林芙美子、津島佑子、李良枝ら、昭和を代表する作家の直筆資料を含む。

 芥川龍之介「或阿呆(あるあほう)の一生」の草稿では、1927(昭和2)年に発表された作品の成立過程とともに、久米正雄に託された際の前書きに記された日付など、晩年の芥川の状況を伝える資料を紹介する。太宰治「ヴィヨンの妻」の原稿は1947(昭和22)年の雑誌掲載時のもので、戦後の混乱期における文学表現の一端を示す。谷崎潤一郎が佐藤春夫に宛てた1931(昭和6)年の書簡では、私生活の変化と人間関係の機微が読み取れる内容となっている。

 そのほか、山本周五郎「樅(もみ)ノ木は残った」に関連する画家・風間完の水彩画も展示する。同作品は1954(昭和29)年から1956(昭和31)年にかけて新聞連載され、後に映像化されるなど広く知られる作品で、展示作品は1988(昭和63)年に同館が企画展を開いた際に制作されたもの。文学作品と視覚表現の関係にも光を当てる構成。

 学芸課主幹の高室有子さんは「60年以上長く続いた昭和は、大きな戦争があったり、社会制度が変わったり大きく変化した時代。文学も多くの作品が生み出されている。同展で時代の流れも感じてもらえれば。作家直筆の原稿もあるので実際に見てもらい、次の読書につながるきっかけになれば」と話す。

 期間中、関連イベントとして、文芸評論家・川本三郎さんによる講演会や、文学座による朗読公演、同館学芸員による解説講座、映画上映会などを行う。

 開館時間は展示室9時~17時。観覧料は、一般=330円、大学生=220円、高校生以下と65歳以上、障害者と介護者は無料。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース